アクティブキュート
なんかプリキュアの名前みたいだ。
プリキュアではない。顔タイプ診断の分類の話である。
私はカラー・骨格・顔タイプなどのいわゆる「似合わせ診断」が大好きだ。狂信者といっても過言ではない。ただ「診断にかかわらず好きなものを着る」という考え方を否定する気は全くないことを先に明言しておく。それはそれで全然いいと思う。育ってきた環境が違うから、夏がダメだったりセロリが好きだったりする。
ただいくら狂信者とは言え、私にも服の好き嫌いはある。しかしそれ以上に服は自分をいかに活かすかのツールだという考えに重きを置いている。服がいくら可愛くても、それによって私が可愛くならなければ何の意味もないのだ。
好きな服を着ていても、似合ってねーな…と自分が思えば途端にバイブスが下がる。私に似合って、素敵に見えてこそ、「お前やるじゃん!!」とその服を真に愛せるのだ。生きているのは大変で、常に疲れる。ふと鏡を見た時まで落ち込みたくない。やってらんねーのです。退職したい。温泉地で不労所得で暮らしたい。
誤解のないように言っておくと、似合っていれば好みでない服でも買うというわけではない。好き「且つ」似合う服しか買いたくないのだ。我が儘極まりない集合の重複部分を満たす服を探すのはそれはもういつも大変である。3時間も4時間も試着して彷徨って何も買わずに帰ってきたり、気に入って買ったはずなのに日常生活に取り入れたらなんか違う…と思ってリサイクルに出してしまうこともあった。
そんな妥協できない永遠のジプシーに、理論に裏付けられた時短を提供してくれたのがいわゆる「似合わせ診断」たちなのである。
私はカラーウインター・骨格ウェーブ(プロ診断)、顔アクティブキュート(AI診断)である。騙されたと思ってやってみると条件を満たす服は本当にバッチリ似合うし、日ごろ超似合うと思ってヘビロテしている服もそういう奇跡の服であったことが多い。
服屋に行って、ハンガーにかかっている服を眺めるだけで、「これは質感ナシ・色ナシ・形ナシ・多分アリ・かなりアリ・形ナシ・質感ナシ・色ナシ」…とサクサク判断できるのだ。まるで知能分析系のキャラにでもなった気分である。レーダーっぽいめがねしてる感じの。もしくは綾小路きみまろ。ともかく、試着したり鏡の前で合わせなくても一次予選を大量かつ高速に行えるのだ。こんな便利なことがあろうか。スーパー時短なだけでなく、試着しては「似合わない…私の顔や体形がカスだから…」と無駄に自己肯定感を爆下げすることもなくなる。いいことしかない。
ちなみに以前カラー診断にハマりすぎて紙ドレープを買ったことがある。職場の同僚たちと昼休みにドレープを当ててああだこうだ言い合った。
同僚はみんなわかりやすいタイプで、そのカラーのドレープを当てると見違えるほど顔色が変わる。「これはあなたのための色では!?」という色が必ずある。似合う服を着ている人たちを見るのは楽しい。持って生まれたものを活かしきって輝くことのなんとすがすがしいことか!と思うのだ。
私に春の色は似合わないけど、先輩が着れば専用にあつらえたよう。夏のくすみカラーは私には微妙だけど、後輩が着ればものすごく綺麗だ。綺麗な人が増えるのは最高だってイタリア人が言っていた気がする。兵長もそう思う。好きな色や素材を好きに着るのはもちろんいいと思うんだけど、やっぱり「合うとされる服」を着た時の破壊力はとんでもないということを同僚たちを見て思い知ったのだった。
私はカラーと骨格はプロに診断してもらったが、昨日顔タイプをAIでやってみた。本当はプロに見てほしいが、未だにコロナが怖いので色々なことを自粛中だ。
AIによるとアクティブキュート。意外過ぎて嘘だろと思ったけど、似合うものも似合わないものも「わかる~~~~…」と思うものばかり。私が受けた診断では「インパクトガーリー」とのことだったが、どうやらそのサイトのオリジナル分類のようで、メジャーな分類に当てはめるとアクティブキュートのようだ。
日々、かっこいい顔立ちの同僚を見てはなぜ私はああいう風にかっこよく大人っぽく(もういい大人だが)ならないんだろう、どう頑張ってもどこかちんちくりんなんだよな…と思っていたが納得した。私の顔ってそんなに曲線じみてたのか。誰にも伝わらないたとえをすると、私の好きな顔の種類はメリーさんやブラド姫なのに、どうも私の顔の系譜はペコちゃんやザウリ側なのだ。もしくはビアンキ顔が好きなのに、クローム系の顔なのだ。無念。
無念ではあるが逆に諦めがつくものもある。そうか、ああいう人たちを羨んでも無駄なのだな。お手本にするものを間違っていた。こうして候補を絞っていくのはウミガメのスープみを感じる。〇〇さんのようなクール系の服とメイクにしたがアホほど似合わない。なぜ?彼女は骨格ナチュラルで私はウェーブですか?はい、彼女はクールカジュアルで私はアクティブキュートですか?はい…
似た系統の顔の人から、自分の好きな雰囲気の人を探して手本にしてもいい。全く違うものを羨んでも、自己肯定感をすり減らすだけなのだ。ゼニガメがいくらヒトカゲに憧れたって、かえんほうしゃは一生撃てるようにならない。でも水タイプとして強くなることはできる。
私にとって一番つらいのは、いいなと思った系統が似合わないことより、自分のことをよく知らずに服を試着して、自分が美しくないから似合わないのだと落ち込むことだ。知っていれば常に自分が素晴らしく見えるものを選べるし、似合わない服でも似合うように着ることができる(完璧でないにしろ)。0か100かみたいな極端な話ではないのだから。
私は私が一番活きる手段を知りたいのだ。
それの最短経路のひとつが、理論に基づく診断だと思っている。今日がこれからの人生で一番若いと誰かが言っていた。定住しようと思えばできるのに、わざわざジプシーしている理由はない。